復刊ドットコムというサイトがあって、
過去の絶版出版物の復刊運動をサポートしています。
わたしはここでピーナッツ（角川スヌーピー・コミックス、
谷川俊太郎版）を揃いで買いました。

そこで「内田百�閨v先生の旺文社文庫復刊運動を
やっています。提案者はわたしです。

http://www.fukkan.com/vote.php3?no=2835

「内田百�閨v先生は夏目漱石の弟子のひとりで、
法政大学のドイツ語教師をしながら随筆を書いていました。
そうとうお金に苦労しながらＢ級グルメに励んだり、
猫を飼ってかわいがったりします。
あといわゆる鉄っちゃん（鉄道マニア）でもあった人で、
いまもてはやされているサブカル、オタク文化のさきがけでも
あった人です。

「サラサーテの盤」というエッセイが
「ツィゴイネルワイゼン」という題名で映画化されたり、
晩年の先生を慕う生徒の様子が「まあだかい」という題名で
映画化されたりするたびに小ブームが訪れ、
そのたびに文庫がチョロッと出るんですが、
その内容に非常に不満がありました。

・新字／新かなであること

べつにわたしは日本国民たるもの旧字旧かなを書くべしとは
思いませんが、少なくとも読めるべきと思っています。
過去の文化遺産がすらすら読みこなせなくなると、
文明の蓄積がパーになるからです。いや、科学的著作や
文献はあるていど新字化するのも仕方ないし、
助かる局面さえありますが、
百�關謳ｶの場合は旧字・旧かなに最後までこだわり、
新字・新かなを排撃したひとです。
いわば丸谷才一や福田恒存の著作を新字・新かなで出すような
ものです。福武文庫のアンソロジーに関わった弟子のかたがたは
このことを矛盾に感じられなかったのでしょうか。
（だいたい新字主義を踏襲するなら、
　百�閧ﾌ名は百間と新字でかくべきではないでしょうか）
旧字旧かなであることは売れ行きに支障をきたしません。
丸谷才一も福田恒存もベストセラー作家ですし、
井上ひさしの「東京セブンローズ」もベストセラーです。
昔の文字遣いを読み解いていると、作品が書かれた時代の
息吹が、より鮮明になります。やはりこの人の作品ぐらいは
旧字で読みましょうよ。

・オリジナル版ではなく、アンソロジーであること

百�關謳ｶの本は、場合によっては２ページで終わる
掌編が多いのですが、収録の順番にも当然こだわりがあります。
これは福武書店などへの不満というより、旺文社文庫が
すばらしすぎたのですが、全部の文章を発表当時の順番で
読みたい、という欲求が強くあります。

◆

実は復刊ドットコムでは交渉開始の要件である
100票を突破していますが、100票を突破したから
即復刊というわけではなく、継続して投票を募集中です。
興味を持たれた方は、ぜひご投票をお願いします。
特に「復刊されたら買わなければいけない」という
オブリゲーションはないと思います ;;;

◆

私淑するＳＦ作家山本弘さんのサイトで
「フェッセンデンの宇宙」の復刊運動を復刊ドットコムで
やってください、と書いてあって、へぇと思いました。
ご自身も入手できないそうです。たぶん郷里の親父が
持ってると思いますが ;;; それだけではなく、
「この本が絶版なのはおかしい、若い人にこの本を
読んで欲しい」という気持ちからの投稿だと思います。

作家であれば「この本があるから今の私があった」という
一冊があると思うので、そういう本はみなさん
復刊ドットコムに登録して欲しいです。わたしも

ハル・クレメント『宇宙人デカ』
（「二十億の針」の子供向け脚色。
　ゆうきまさみの「鉄腕バーディー」が超面白いですが、
　考えたらその元祖的な作品ですね。
　ファースト・コンタクトまでのドタバタが楽しい）
加納一朗『パルにまかせろ』
渡辺次男『なべつぐのあすなろ数学』
小西甚一『古文の読解』
鶴書房『ＳＦベストセラーズ』

など、いっぱいリクエストしたい本があります。
（ていうかエスエフと学参ばっかし・・・;;;

◆

それにしても、出版社のみなさん、絶版多すぎですよ。
特に翻訳モノの文庫本はひどすぎる。
その割りにあやしげな自己啓発本とかは腐るほどあるのな。
昔の本を大事にしないから、ブックオフに行くことになり、
ついでに新刊もそこで買うことになります。
自殺行為だと思う。

◆

ところでこの�閨iケン、門＋月、間の旧字体）は
＆＃３８２９０；と半角で書くと入れられます。
これは台湾由来の Unicode の実体参照です。
この件は拙著「文字コード【超】研究」に当然ながら詳述されています。
この本が絶版になりませんように・・・（うまいねどうも ;;;