日々叢書(この著者ちょこちょこ昔の文章直します。スイマセン)

大学生の劇団の新歓公演を見に行きました

いぜん自己紹介のところに、同姓同名の方がいらっしゃって、
女性で、大学で劇団やってるらしい、という話を書いたら、
その方からメールをいただきました。

一橋大学内で活動している「己疑人」(と書いてコギトと読む)
という劇団で、こんど新歓公演をする、ということで、
新入生じゃないけど見に行っていいですか、というと、
一般の人は結構来るからどうぞお越しくださいとのことで、行くことにしました。

ちなみにこの名前は結構シャレていますね。
cogito, ergo sum.(我思う故に我あり)はデカルトの「懐疑の精神」の基本となる言葉
(どんなにあらゆることを疑っても、その疑っている自分の存在だけは疑いない)
で、その「我思う」の部分を「自分は疑う人間である」あるいは「自分を疑う人間」と
読める「己疑人」と書いたんですよね。

一橋大学って名前からして集英社の近くにあるんだろうと思ってたんですが、
国立キャンパスの方でした。聞きしに勝る美しい大学通りで、
少々圧倒されました。で、南武線で行ったので例のマンションの横も通ったんですが、
これまた聞きしに勝る異観で、「こりゃあ裁判沙汰にもなるわ〜」と無責任な感想を
持ちました。ちなみに「マンション訴訟」という言葉は「バスガス爆発」と同じぐらい
言いにくい言葉で、テレビのニュースキャスターがカミまくっていたのを思い出します。

開演時間ちょうどぐらいに着いたんですが(ダメじゃん!)、
学内がまた鬱蒼とした森という感じで、なんとなく萩尾望都、竹宮恵子の世界を
思い出しました。が、結構学内で迷って、結局やや遅刻の入りになりました。

演目は別役実作の「うしろの正面だあれ」でした。
その日の昼食時にやはり大学時代演劇をやってた友達に
「別役実って、いま息子が離婚するしないで大変な・・・」
というと
「それは唐十郎」と言われました。これぐらいぼくは演劇に不案内です。

劇場になっている部屋は30席ぐらいの部屋です。
大きな劇場のように「非常口」の明かりとかないので、
ふだんなじみのないぼくとかには非常に異空間に来たなあという感じがして、
それだけで興奮します。
隣の席は明らかに近所のおばあさんといった風情で、買い物の袋を持っていました。
無料の(カンパ制)演し物ということで、結構気楽に見に来られてるみたいです。
いやあ、こんな世界があったなんて、知らなかったなあ。

内容は、非常に面白かったです。
経験があまり豊富でない役者さんが舞台に登っているという緊張感が、
芝居の人間関係の対立が生み出す緊張感に非常にうまく噛みあっていて、
間近な舞台で、それが非常に好ましく伝わってきました。
あと、ふだん学生さんをしている方が演じているということで、
ふだんいろいろ悩み、考えていることが劇に奥行きを与えているようにも感じられました。
正直、演劇は好んで見に行く方ではないのですが(商業演劇は高いし)、
いままで商業演劇を見ててわからなかったことがイロイロ分かったような気がしました。
あと、好感を持てたのは、みんな力いっぱい演じていたということです。
これは結構感心して、教えられることも多かったです。

休日の過ごし方として、大学の劇団の公演を見に行く、というのは
その大学のOBでもなければあまり考えないですよね。
これ、結構オススメです。気持ちがリフレッシュし、
ベタな感想で書いてて気恥ずかしいですが、なんとなく気持ち的に若返った気がしました。

Last Update : 2004/05/18 14:26