日々叢書(この著者ちょこちょこ昔の文章直します。スイマセン)

聞き違いと教養

大学時代の友達と月イチで麻雀するんですが、
世にいうお宅の人が多く、テレビを見ながら打っていても
特殊な世間話になりがちです。

一度「おそうじのヒント」という番組で、
水周りに水滴の形の白い汚れがつくことがある、
これは水道水のミネラルと石鹸が化合したもので、
白色水性汚れという、というのを、
「えっ、白色彗星汚れ!?」と
ほぼ全員が聞きとがめました。

白色彗星は天文学用語ではありません。
(天文学であるのは白色矮星)
白色彗星は「さらば宇宙戦艦ヤマト〜愛の戦士たち〜」で
ズォーター大帝率いる敵船団がカモフラージュのために
白い尾を引いていたものです。

先日も、自民党のセンタイカンブが逮捕、というニュースで、
半分が「えっ、太陽戦隊サンバルカンの岸田森!?」といい、
半分が「ジャッカー電撃隊の宮内洋!?」といいました。
戦隊幹部と聞きなしているわけですが、
これは当然選対幹部(選挙対策担当幹部)でしょう。
でもなんで「選対」などというチンケな符丁をニュースで
言わないといけないのか。1回はキチンと選挙対策、
というべきだ。これは戦隊幹部と間違えて当然だと意見が
一致しました。(・・・)

(ちなみに、選挙関係で言えば、ニュースでよく
 「票の取りまとめを依頼」という言い方をしますが、
 これわけわかりません。
 辞書には「とりまとめ」は「とりまとめること」と書いていて(!)、
 「とりまとめる」は「取り纏める」として
 (1)多くのものを集め、整理して一つにする。
  「政府の見解を―・める」
 (2)望ましい状態になるように処理する。
  「縁談を―・める」
 と書いていますが、誰に気を使ってこんな婉曲な言い方をするんでしょうか。
 「一般選挙民を恐喝、晦渋、買収する」という意味ですよね。
 私娼を「割り切ったお付き合い」と言い換えるなみの
 気を使った言い換えです。
 普通に「集票工作をした」あたりが妥当では。)

冒頭の2つは、当然、あえてことさらに間違ってるわけですが、
結構マジボケのもあります。
前にも書きましたが、有事立法のときに、
宮沢さんと並ぶ「最後のハト派」野中さんが、
満腔の声を振り絞って「都心を、キュージョーのそばを、
戦車が走るようなことは、恐ろしいことであります」と
言ってましたが、そのときニュースのテロップで
球場の側を」と書いてありました。
たしかにブラック・サンデーなどの映画を見ると
大勢が集まるスタジアムは重要な戦略拠点かなという
気もしますが、これ、どう考えても「宮城」ですよね。

聞き間違いはバックグラウンドになる教養が窺い知れて面白いです。

追記:
唐沢商会の著書で、「エクソシスト3」という映画の紹介で
「カラスおやじが倒したはずの悪魔は生きていた」
としきりに連呼しているので何かと思ったが、これは当然
「カラス神父(しんぷ)」の読み間違いという話がありましたが、
これは神父の苗字が「カラス」だったから発生したものですね。
「ジャクソン神父」とかだとこうは読み間違えないのでは。

Last Update : 2003/12/29 22:25